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J.POSH SQUARE 7号

 

乳がんの治療について その1

認定NPO法人 J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)
理事長 田中完児

 

乳がんの治療といっても捉えかたによってはいくとおりもの分類の仕方があると思います。ここでは日頃より乳がんの診療にあたっている私が、患者さんや患者さんの家族の方に説明している内容の一部を紹介したいと思います。先ず、おことわりしておかなければならないのは、乳がんの治療には、1.転移や再発を起こしていない段階の治療法と、2.転移や再発を起こしてからの治療法とがあり、これらはおのおの異なります。二つの治療について説明をするには、内容が膨大になるため、今回と次回との2回に分けて、「1.転移や再発を起こしていない患者さんの治療法」に限定してお話をさせていただきます。

 

先ず、乳がんはその病気の内容から、乳房や腋のリンパ節などの比較的局所に起こる病気(局所病)であると同時に、全身へ転移をしてしまう病気(全身病)でもあります。治療を行う上では、局所病としての治療と全身病としての治療を共に行います。局所病としての治療法には、一般的には、手術、放射線治療、化学療法、がありますが、そのうち代表的なものは悪いところを取ってしまう手術です。手術を行う部位としては、乳房と腋のリンパ節があります。(古くは、胸の筋肉や他の部位のリンパ節や肋骨を取ったりした時期もありましたが、今ではほとんどしません。)乳房の切除の仕方には、乳房を部分的に切除して他のほとんどを残す「乳房温存術」とすべて切除する「乳房または乳腺全切除術」とがあります。

 

それぞれの手術のうちどちらを選択するかは、はっきりとした適応の基準があります。どんなケースでも乳房を残せるといったものではありません。しかし、最終的には患者さんと相談しながら、なるべく患者さんの意志を尊重しながら手術の方法を決めます。しかし、女性にとって乳房や乳頭を失うことは精神的にもダメージが大きいため、最近では乳頭を残す手術や乳房の形成手術の話まで行う施設も増えてきつつあります。一方、リンパ節の手術については、手術前に手で触ってリンパ節が触れる方と触れない方とでは対応が異なります。触れる方はその約80%の場合で実際にリンパ節へがんが転移していることがしられており、この場合はリンパ節を取る手術を行います。

 

リンパ節が触れない方はその約70%にリンパ節へのがんの転移が認められないため、1個取って調べる(センチネルリンパ節生検)というものが最近ではよく行われています。しかし、これ以外にもやはりリンパ節を結局全て取ってしまうとか、ケースによってはそのままなにもせず放置して経過観察する、などの選択肢があります。