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ピンクリボンNEWS 31号(vol.9 no.1)

 

「シッターサポートプログラム」の創設

認定NPO法人J.POSH
理事

平田 以津子

 

J.POSHでは、乳幼児を育てながら乳がんの抗がん剤治療や放射線治療を受けておられる方に、乳幼児の一時預かり保育やベビーシッター等にかかる費用の一部を助成するプログラムを、昨年秋に創設致しました。乳がん患者さんの総数からすると、対象となる方の人数はほんの一握りではありますが、自身の治療と幼子の育児のやりくりで辛い思いをされているママたちを少しでも応援したいとの想いから作り上げたプログラムです。

 

治療と育児のママ応援

 

近年、日本では晩婚の傾向が進んでいます。生涯未婚率も高く、少子化なども、大きな社会の課題となっています。2019年の出生数はついに90万人を切ったとのニュースも報じられました。一方乳がんの罹患者の若年化、とりわけ、30歳代の罹患者数が増えています。この様に、晩婚化と乳がん罹患の若年化によって、乳がんと診断された方の中に、乳幼児を養育中の方が多くなっているのが現状です。


農業が中心だった時代には、親が畑に行く時は、爺ちゃん婆ちゃんが子守りをしてくれたり、赤ちゃんも一緒に畑に連れて行って籠で寝かせておく等という光景も普通にあったようです。しかし現代では核家族が一般的で、仕事の都合等で実家から遠く離れて暮らす方々がとても多く、また、ご近所同士の関わりも昔とは違い、マンションなどでは個人情報を守るためか、表札も上がっていなくてお隣さんの名字すら知らないというケースもよくあるようです。


私自身も三人の子供を育ててきましたが、両方の実家は比較的近く、よく助けてもらったものです。そして、お隣さんにもよくしてもらい、時々子供を預かってもらう事もありました。でも世の中は変わってきています。まさに実家から遠く離れて暮している私の娘の子育てを見ていて、大変さがわかりました。出かける時は、1人はベビーカー、もう1人は抱っこ、そして大きな荷物。実家が遠いと、自分がちょっと歯医者に行くにも「ばぁばとお留守番しててね」というわけにはいかないのです。


乳幼児は本当にかわいく愛おしいです。でも誰かにお世話をしてもらわなければ生きていけない存在なのです。その誰かとは、ほとんどの場合は親であり、特に母親が全面的に世話をするケースが多いと考えられます。その母親が乳がんになったらどうなるのでしょうか?誰しも「がん」と告知されたら頭が真っ白になって自分の身に起きた事がすぐには受け入れられないと言われます。「告知を受けた後、病院からどうやって帰ってきたのかも覚えていない」と仰った方もありました。乳幼児をかかえる母親は、自分ががんと知らされ、ショックで不安を感じると同時に、子供達をどうすれば良いのだろうと、谷底にでも突き落とされたかのように、途方に暮れるのではないでしょうか。

 

『金銭的サポートと応援が心強い』

乳がんは早く見つかればほとんどが良くなると言われていますが、治療自体は長く続くのです。中でも、抗がん剤治療を受けた場合、吐き気や倦怠感、脱毛などつらい副作用が起こります。そんな時は、普通でも弱気になったり、不安になったりするでしょう。でも乳幼児は感情のままに泣いたり抱っこを求めたり、歩き始める頃には不安定な歩き方で、あちこち探検して動き回ります。そう、治療中で体調が悪くても、ゆっくり休養はできないのです。そして、子供さんを外で遊ばせてあげられない事を申し訳なく思う親心。だけど、もう一人で抱え込まないで、頑張りすぎないで、少しでもストレスフリーでゆっくりできる時間をもってもらいたいのです。それにはどなたかにお手伝いをお願いしなければ・・でも、親御さんや親族にお願いするのも難しい条件はいっぱいあります。さすがに、入院、手術の時には、万障繰り合わせて、旦那さんが休みを取ったり、親御さん等が来て下さる事は可能でも、抗がん剤治療や放射線治療など、継続的な治療の場合には、頻繁にお願いするのは難しいというケースが多いと思われます。


・夫は仕事で帰りは遅い、休業が難しい
・両実家が遠方、親も仕事をしている
・両実家の両親も高齢で、闘病中や看病中、祖父母を介護中


等々、頼る事が難しい状況で子育てしながら闘病生活をされている方がおられるのです。
そんな方々に、乳幼児の一時保育やベビーシッターさんにお願いしてもいいんだ~と気持ちを楽にしてもらいたいとの想いを込めた、シッターサポートプログラムです。助成金自体は、月に1万円で6か月分と、実際にかかる費用のほんの一部の金額でしかないのですが、受給された方から「金銭的なサポートももちろん大変ありがたいですが、乳がんの治療を応援してくださる方がいると実感できることも、非常に心強いです。」とのメールを頂いた時は、このプログラムを作って本当に良かったと思えた瞬間でした。